Linux Foundation

Linux Foundation（リナックスファウンデーション）とは

Linux Foundation（LF）は、2000年に設立された非営利の技術コンソーシアムです。オープンソース[[ソフトウェア]]の普及と発展を促進することを目的としています。2007年1月21日、Open Source Development Labs（OSDL）とFree Standards Group（FSG）が合併し、Linuxの標準化、成長支援、商業利用の促進を目的として設立されました。

Linux Foundationの主な目的は、「クローズドなプラットフォームに対抗するための様々なサービスを提供することで、Linuxの成長を促進する」ことです。オープンソース[[ソフトウェア]]プロジェクトのホストや共同開発を積極的に支援し、Linuxのコミュニティを支えています。

歴史と組織

Linux Foundationは、元々OSDLの一部として2000年にスタートしました。OSDLがFSGと合併した際に、現在の組織体制となりました。Linuxの作者であるLinus Torvalds（リーナス・トーバルズ）やリードメンテナのGreg Kroah-Hartman（グレッグ・クロー＝ハートマン）の活動を支援しており、AT&T、Cisco、Facebook、Fujitsu、Google、Hitachi、Huawei、IBM、Intel、Microsoft、NEC、Oracle、Orange S.A.、Qualcomm、Samsung、Tencent、VMwareなど、世界中の多くの企業や開発者から支援を受けています。

活動内容

近年、Linux Foundationは、イベント開催、トレーニングプログラムの提供、認定資格の発行、オープンソースプロジェクトの支援など、幅広い活動を展開しています。特に、以下のようなプロジェクトをホストし、コミュニティの発展に貢献しています。

Linuxカーネルプロジェクト
Kubernetes
Automotive Grade Linux
Open Network Automation Platform（ONAP）
Hyperledger
Cloud Native Computing Foundation
Cloud Foundry Foundation
Xen Project

目標

Linux Foundationの目標は、オープンソースプロジェクトに関わる持続可能なエコシステムを構築し、技術開発と商業利用を促進することです。Linuxカーネルの開発を保護し、長期的な発展を支援するための中立的な立場を確立することも重視しています。また、Linux技術コミュニティ、ソフトウェア開発者、ソフトウェア産業、エンドユーザーが協力して、Linuxやオープンソースが抱える課題を解決するための場を提供しています。

イベントとコミュニティ支援

Linux Foundationは、技術情報の提供や教育を通じて、Linuxコミュニティを支援しています。年間イベントとして、Open Source Leadership Summit、Linuxカーネルサミット、Open Source Summit（旧称：LinuxCon）などを開催しています。開発者への旅行支援も行っており、コミュニティの活発化に貢献しています。

主な取り組み

Linux Foundationは、以下のような多様な取り組みを通じて、オープンソース[[ソフトウェア]]の普及と発展を促進しています。

Community Data License Agreement（CDLA）

CDLAは、データ共有のための法的枠組みであり、2017年10月に発表されました。2種類の初期ライセンスがあり、データ利用における権利と義務を明確化しています。

CDLA-Sharing license: データ利用におけるコピーレフトの原則を適用し、データの下流利用者に対してデータ使用・変更の権利を保証するとともに、変更内容の公開義務を規定します。
CDLA-Permissive agreement: パーミッシブなオープンソースライセンスと同様に、データ公開者は誰でもデータを使用・変更でき、変更内容の公開義務は発生しません。

Linux.com

Linux Foundationは、2009年3月3日にLinux.comの管理を前所有者のSourceForge, Incから引き継ぎました。Linuxに関する情報発信の中心として、Linuxコミュニティに貢献しています。

Linux Foundation Public Health（LFPH）

LFPHは、2020年のCOVID-19パンデミック中に、GoogleとAppleが開発したBluetooth通知システムを基盤とした、接触追跡アプリの開発・サポートを目的として設立されました。プライバシーを重視した公開通知ネットワークを構築し、公衆衛生アプリケーションの普及を促進しています。

トレーニングと認定資格

Linux Foundationは、Linux開発者やオープンソースコミュニティ向けのトレーニングプログラムを提供しています。インストラクターや教材は、Linuxコミュニティから直接提供され、質の高い教育を提供しています。

Patent Commons Project

Patent Commonsは、オープンソースコミュニティで利用可能な特許を持つソフトウェアの集合体です。特許所有者は、コモンズに含まれるソフトウェアに対して、特許の利用制限を行う場合でも、特許侵害で開発者を訴えないことを保証する必要があります。この概念は、Red Hatが2001年に提唱したPatent Promiseに端を発します。2015年現在、このプロジェクトには53の特許が含まれています。

Linux Foundation Projects

Linux Foundation Projects（旧称：Collaborative Projects）は、産業界とエコシステムでのイノベーションを促進するための、開発者のコラボレーションを支援する独立資金提供プログラムです。500以上の企業と数千人の開発者が、これらのオープンソース[[ソフトウェア]]プロジェクトに貢献しています。

2015年9月時点で、Linux Foundation Projectsのソースコードの総行数は115,013,302行に達しました。開発コストは推定約50億ドル相当で、継続的な投資とプロジェクトの拡大により、2017年9月までに推定156億ドルまで増加しました。

以下は、Linux Foundation Projectsに含まれる代表的なプロジェクトです（アルファベット順）。

AllJoyn
Automotive Grade Linux
Carrier Grade Linux
CD Foundation
Cloud Foundry
Cloud Native Computing Foundation
CHAOSS
Code Aurora Forum
CORD
Core Embedded Linux Project
Core Infrastructure Initiative
Delta Lake
DiaMon Workgroup
DPDK
Dronecode
EdgeX Foundry
ELISA
FD.io
FinOps Foundation
Fossology
FRRouting
GraphQL Foundation
Hyperledger
IO Visor
IoTivity
JanusGraph
JS Foundation
Kinetic Open Storage Project
Laminas Project
Linux Standard Base
Long Term Support Initiative
MLflow
Node.js Foundation
ODPi
ONOS
OpenAPI Specification
OpenBMC
OpenChain Project
Open Container Initiative
OpenDaylight
OpenJS Foundation
Open Mainframe Project
OpenMAMA
OpenMessaging
OpenPrinting
OpenSDS
Open vSwitch
ONAP
OPNFV
PNDA
R Consortium
Real-Time Linux
RethinkDB
RISC-V Foundation
Software Package Data Exchange (SPDX)
SNAS.io
Tizen
TODO
Xen Project
Yocto Project
Zephyr Project

OpenPrintingワークグループ

OpenPrintingワークグループは、Linuxでの印刷関連のサポートを提供しています。LinuxPrinting.orgとして設立され、Free Standards Groupの一部を経て、現在はLinux Foundationの一部となっています。プリンターに関するデータベースを管理し、Linuxでの印刷品質や対応状況などの情報を提供しています。

アクセシビリティ ワークグループ

アクセシビリティ ワークグループは、障害を持つ人々がLinuxやLinuxベースのアプリケーションを利用しやすくするための標準を開発しています。IAccessible2インターフェースなどがこの取り組みに含まれます。

まとめ

Linux Foundationは、オープンソース[[ソフトウェア]]の普及と発展を促進するための重要な組織です。多数のプロジェクトを支援し、技術開発と商業利用を推進することで、ソフトウェア業界全体のイノベーションに貢献しています。

脚注

外部リンク
The New York Times - "Group Formed to Support Linux as Rival to Windows"
Linux_Foundation'>Linux Foundation Wiki
LinuxPrinting.org
The Linux Foundation
* 日本語版

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